スノーボードにワックスをかけるのは単に滑りをよくするだけではなく、ボードの耐久性を高めるためにも必要です。ワックスには滑走面に薄い保護層を作り、摩擦による摩耗から守るという役割があります。ワックスをかけていないボードは摩擦が強まることで滑りにくくなったり、引っかかりを感じたりすることが多いです。本記事ではワックスの簡単な塗り方やおすすめのワックスセット、作業台(ワックススタンド)まで詳細に解説します。この記事を見て基本的なワックスのかけ方・種類やワックスがけの際のアイロンの温度など、ワックスの基本を学びましょう。
ワックスの基礎知識
「滑りにくくなる」状態とはどんな状態?
ボードの滑走面には微細な溝があり、ワックスはこれらを埋めることで雪との摩擦を減らし、滑りを良くします。ワックスが不足するとこの溝が剥き出しになり、雪が引っかかるため滑走がスムーズにいきません。また、引っかかりが強くなるとボードをコントロールしにくくなり、安全性にも影響が出ます。
ワックスをかけないリスク
ワックスをかけないボードは滑走性が落ちるだけでなく、ボード自体の耐久性にも影響します。摩擦が増えると滑走面が擦れて傷つきやすくなり、ボードの寿命が短くなってしまいます。特にスノーボードは湿った雪の影響を受けやすいので、ワックスがないと水分・汚れが浸透し劣化が進みやすくなります。
ワックスの種類:ホットワックス vs. リキッドワックス
ワックスは大きく分けると「ホットワックス」と「リキッドワックス」の2種類があります。ホットワックスはスノーボードの滑走面に使用する固形のワックスで、熱を加えて溶かしながら滑走面に浸透させることで滑りやすさと耐久性を高める効果があります。一度塗ると効果が長持ちするため頻繁にワクシングをする必要がなく、長期的にはコストパフォーマンスが良いと言えます。リキッドワックスは液体状のワックスであり簡単に塗布できるため手軽ですが、持続性はホットワックスに劣りますので頻繁なメンテナンスが必要となります。初心者は簡単に塗ることのできるリキッドワックスから始め、徐々にホットワックスにも挑戦していくのがおすすめです!
ワックスがけをする前の準備
ワックス前のボード清掃
ワックスがけの前にボードの滑走面をきれいにするのはとても大切です。滑走面に付着した汚れや雪のかけら、古いワックスが残っていると新しいワックスが均一に塗れず、滑走性能が低下してしまいます。簡単な清掃方法としては、まず専用のワックスクリーナーを使用することです。クリーナーを滑走面にスプレーし、乾いた布やタオルで拭き取るだけで古いワックスや汚れが除去されます。クリーナーが手元にない場合は水で軽く濡らした布で表面を拭き、その後乾燥させてからワックスがけを行いましょう。
ワックスがけに適した場所の選び方
ワックスがけ作業は、必ず換気の良い場所で行いましょう。特にホットワックスは加熱する際に煙が発生するので、屋外やガレージ・窓を開けた室内で行うのが安全です。また、ワックスがけ中は床が汚れやすくなるため新聞紙やビニールシートを敷いておくと掃除が簡単です。ワックスがけ専用の台がない場合は、ボードの底面が安定するような高さのあるワックススタンドや適度な高さの平らな場所を使うと作業がしやすくなります。
ワックスのかけ方
リキッドワックス・ホットワックス別の、簡単なかけ方を紹介します。
リキッドワックス
必要な道具
- リキッドワックス
液体状のワックスで、ボードの滑走面に直接塗布して使います。ホットワックスと違ってアイロンが不要、塗って乾かすだけなので手軽に使えて初心者にもおすすめです。短時間で効果を発揮して滑りやすさが向上しますが、持続時間はホットワックスよりも短めです。 - クリーニングクロス
クリーニングクロスは、ボードの滑走面の汚れや古いワックスを拭き取るための布です。滑走面をきれいにすることで、新しいワックスがしっかりと密着しやすくなります。柔らかく吸水性の高い素材が使われているので、ボードを傷つけずに拭けます。 - スノーボードクリーナー
スノーボードクリーナーは、滑走面の汚れや油分を落とすための専用のクリーニング剤です。特に汚れがひどいときや、ワックスをかけ直す前に使うと、ボードのコンディションが整います。使うときはクリーナーをクロスに吹きかけてから滑走面を拭くときれいに仕上がります。
ワックス塗布の手順
- スノーボードを平らな場所に置く:ワックススタンドや安定した地面にスノーボードを固定すると作業がしやすくなります。
- 滑走面の汚れを落とす: 雪や汚れ、油分が板の滑走面に付着しているとワックスの効果が半減するため、クリーナーを使って表面をきれいにしましょう。直接ボードにスプレーをするとムラが出てしまうので、まずはクリーナーをクロスにスプレーします。クリーナーを含んだクロスでボードの汚れをしっかり拭き取ります。
- ワックスを均一に塗っていく: 滑走面全体にムラができないように、リキッドワックスを塗布します。スプレータイプのものは、10〜15cm程度離して吹きかけると良いでしょう。
- ワックスを伸ばす: リキッドワックスが均等に行き渡るように、クロスを使って滑走面全体にワックスを伸ばします。力を入れすぎず、優しく磨くような感覚で塗り広げましょう。汚れが再度付着することを防ぐため、「2.滑走面の汚れを落とす」にて汚れをふき取ったものとは別のクロスを使用しましょう。
- 乾燥させる: リキッドワックスはすぐに乾燥しますが、メーカーが指定する乾燥時間(通常は5〜10分)を守って、しっかりと乾かしてください。
ホットワックス
必要な道具
- ホットワックス
ホットワックスは固形のワックスで、熱を加えて溶かしながら滑走面に浸透させることで滑りやすさと耐久性を高める効果があります。一度塗ると効果が長持ちするため頻繁にワクシングをする必要がなく、長期的にはコストパフォーマンスが良いと言えます。 - ホットワックスアイロン
ホットワックス用のアイロンは、ワックスを板に均一に溶かして塗り込むための専用アイロンです。通常の洋服用アイロンよりも温度調整がしやすく、滑走面を傷めないよう設計されています。適温でワックスを溶かし、滑らかに広げるのに重要です。 - スクレーパー
スクレーパーは、ワックスを塗布した後に余分なワックスを削り取るための道具です。余計なワックスが残っていると滑りが悪くなるため、滑走面にしっかり密着した分だけを残すのが目的です。プラスチック製が一般的で、板に合わせて使います。 - ブラシ(ナイロン・馬毛など)
ブラシはワックスを塗り終えた滑走面を仕上げ、さらに滑りを良くするために使います。ブラッシングによって細かいワックスの粉が取り除かれて滑走面が整えられるため、滑りがスムーズになります。ブラシにはナイロンや馬毛ブラシなど様々な種類があり、滑走面をきれいに整えるのに役立ちます。使い分けがポイントであり、ナイロンと馬毛の場合はナイロンで整えたあとに馬毛ブラシで仕上げるとツヤが出やすくなります。 - クリーニングクロス
クリーニングクロスは、ボードの滑走面の汚れや古いワックスを拭き取るための布です。滑走面をきれいにすることで、新しいワックスがしっかりと密着しやすくなります。柔らかく吸水性の高い素材が使われているので、ボードを傷つけずに拭けます。 - スノーボードクリーナー
スノーボードクリーナーは、滑走面の汚れや油分を落とすための専用のクリーニング剤です。特に汚れがひどいときや、ワックスをかけ直す前に使うと、ボードのコンディションが整います。使うときはクリーナーをクロスに吹きかけてから滑走面を拭くときれいに仕上がります。
ホットワックスの温度設定
ホットワックスを使う際には、アイロンの温度設定が重要です。温度が高すぎるとワックスが過剰に溶けてしまい、滑走面に適切に密着しません。一般的な目安としては、アイロンが約100~130℃程度に設定されることが多く、ワックスの種類によって適切な温度は異なるので、パッケージに記載されている温度を参考にしましょう。また、煙が出てきたら温度が高すぎるサインですので、少し温度を下げて再調整します。
ワックス塗布の手順
- スノーボードを平らな場所に置く:ワックススタンドや安定した地面にスノーボードを固定すると作業がしやすくなります。
- 滑走面の汚れを落とす: 雪や汚れ、油分が板の滑走面に付着しているとワックスの効果が半減するため、クリーナーを使って表面をきれいにしましょう。直接ボードにスプレーをするとムラが出てしまうので、まずはクリーナーをクロスにスプレーします。クリーナーを含んだクロスでボードの汚れをしっかり拭き取ります。
- ワックスを均一に塗っていく: ワックスが適温に溶けたら、ボード全体に均等に塗り広げていきます。アイロンを使ってゆっくりとボード全体にワックスを広げていき、滑走面全体に薄く広がるように注意します。この時、アイロンを滑走面に長く当てすぎないようにしましょう。均一に塗られたワックスは、後のスクレーピング作業が楽になります。
- スクレーピング(削り落とし): ワックスを滑走面に均一に塗り冷えて固まったら、スクレーパーで余分なワックスを削り落とします。スクレーピングは滑走方向に沿って行い、一定の力で削っていくのがポイントです。余分なワックスを残さず取り除くことで、滑走性が向上し、ボードが雪に引っかかりにくくなります。
- ブラッシングと仕上げ: スクレーピングが完了したら、ブラシを使って滑走面を仕上げます。ブラッシングを行い磨き上げることで、滑走面が滑らかになり、雪の上をスムーズに滑るための準備が整います。最後にクロスで軽く拭くと、余分な粉が取れて仕上がりがきれいになります。
初心者におすすめのアイテム・便利グッズ
初心者向けホットワックスセット
初心者にとって最低限必要なアイテムには、ホットワックスアイロン、ワックス本体、スクレーパー、ブラシなどが含まれます。基本的なセットであれば、簡単にワクシングの工程を進めることができ、はじめての方でもわかりやすく扱えます。また、ボードをちょうどよい高さに固定できるワックススタンドがあると作業がしやすく、失敗が少なくなります。特に、以下のガリウムのセットはコンパクトなケースにすべて収まる収納性とコスパの良さを兼ね備えているのでおすすめです。ワックススタンドのついているセットとついていないセットをそれぞれご紹介します。
初心者向けリキッドワックス関連
リキッドワックスは、初心者にとって手軽に使えるアイテムです。ホットワックスと比べると耐久性は短いですが、スプレーするだけで簡単に滑走面をケアでき、短時間の滑走や気軽なメンテナンスに向いています。持ち運びも便利なので、スノーボード旅行時にも役立つアイテムです。お値段も安めですので、スノーボードをする際に一緒に入れて持っていくことをおすすめします。
初心者向け便利なアクセサリー
ワックススタンドがあれば安定した環境でワックスがけを行えるためとてもおすすめです。また、汚れを落とすためのクリーナーやボードに傷をつけないためのクリーニングクロスも頻繁に使うものですので、長くボードを使いたいという方にはおすすめです。
ボードの保管方法
ワックスの劣化を防ぐ保管方法
ワックスがけを終えたボードは、適切に保管することで次のシーズンまで良好な状態を維持できます。保管中は湿度や温度に気を付けることが重要です。湿気の少ない乾燥した場所で保管することで、滑走面の劣化を防げます。また、ボードは直射日光の当たらない場所に置き、ワックスやボードが熱でダメージを受けないようにしましょう。また、ボードを立てかけておく際には滑走面が傷つかないように注意してください。
まとめ
初心者には手軽に使えるリキッドワックスや、ホットワックスの簡易セットが適しています。リキッドワックスは手軽に塗れるのが魅力で、ホットワックスは手間はかかりますが長持ちしやすいのがメリットです。また、シーズン終了後には必ずワクシングをしてから保管することで、ボードの性能を長持ちさせることができます。必要なアイテムや道具の使い方を覚え、正しい方法でメンテナンスを行うことで、快適な滑走を楽しみましょう!
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